このブラウザは、JavaScript が無効になっています。JavaScriptを有効にして再度、お越しください。
ログイン
ログイン
ログインID
パスワード
パスワード再発行
メニュー
トップページ
フォトアルバム
プロフィール
ブログ 日本再構築
事務所 所在地
リンク
ご意見・お問い合わせ
後援会/ご寄付
メール配信登録
ヘッドライン先情報
サイト名
中村哲治「日本再構築」ブログ
最終更新時刻
2021/01/10 20:50
作成
Array
サイトURL
https://tezj.hatenablog.jp/
オンラインサロン「お金のしくみ」塾のご案内
「お金のしくみ」オンライン勉強会が2020年中に17回を数えるに至りました。ここで新しい悩みが出てきました。
各勉強会の質問時間に皆さんからいただく質問の大半が、専門的な内容になってしまいました。そして実際に、初めて参加された方から専門的で参加しづらい雰囲気だったという御意見をいただきました。これでは、誰でも参加していただけるような「お金のしくみ」の勉強会という趣旨にそぐわなくなってしまいます。
そこで2021年の「お金のしくみ」オンライン勉強会では、初めて参加される方にも気軽に参加していただけるように、分かりやすい言葉を使っていただくようにお願いをすることにいたしました。
また、このような方針を2020年末第17回の勉強会でお示ししたところ、有料でもいいので中上級者向けの質問の機会を別に設けて欲しいという声もいただきました。そこで、有料の会員制の塾を開設することといたしました。
原則月1回、オンライン勉強会とは別の日に、オンラインサロンの月例会を開催します。塾生へのサービスは入塾してくださった塾生の皆さまからの御意見を伺いながら、内容を整えて参ります。
月謝 月額2000円
参加を希望される方は、以下の「メンバー登録」からお申し込みください。必要事項記載後にクレジットカード決済の画面が出て参ります。必要な情報を入力していただき、決済をお願いいたします。月謝はシステムの都合上、毎月同日に請求されます。
メンバー登録
どうぞ、よろしくお願いいたします。
(2021/01/11 11:35)
消費税をゼロにする方法とは?「お金のしくみ」第18回勉強会
感染爆発の今だからこそ消費税ゼロと所得補償が必要です。財源を国債の発行でまかなっても問題ありません。なぜそう言えるのか。その説明をオンライン勉強会で行っています。
「お金のしくみ」第18回オンライン勉強会
2021年1月11日(月)21:00~22:00(延長希望があれば~22:30)
https://us02web.zoom.us/j/81863418211?pwd=a1ZOckFPSjQ2MGY4QnpnTUdzQTFXUT09
ミーティングID: 818 6341 8211
パスコード: 946483
(2021/01/11 15:39)
2021年頭所感「本当の意味での「将来の世代への責任」」
あけましておめでとうございます。
コロナ禍の中で新年を迎えられ、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。政府が採る対策は不十分なまま、年末12月31日には東京のでコロナの感染者数が1337人と過去最高になるところにまで来てしまいました。私たち国民から見れば、政府も頼れない、しかし、自分たちが持っている手段も少ない。そのような状況の中で、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
多額の予算はつけられているのに、お金が回っていくのは、政府与党との利権を持っている人たちに対してばかりで、膨大な中抜きが起こっている構造も見えてきました。
医療の現場では、人的にも物的にも医療資源はひっぱくしているのに、危険手当も十分に支払われない、人的なサポートも十分ではないことが明らかになってきました。
また、持続化給付金などのコロナ対策の窓口になっているコールセンターでも、現場で電話を取る人たちは非正規社員の方々で、研修も不十分なまま前線に立たされていることも見えてきました。仕事を政府から請け負った事務局の会社からコールセンターを運営している会社までに何重にも中抜きの企業が入っていると推測できます。
政府は「お金がない」と言いながら、中抜き企業には多額の予算を与え、国民が本当に必要としている現場には予算を回さない。
このような政府与党の有様を見て、多くの国民の皆さんが何かおかしいと思われるようになってきたのではないでしょうか。そこで、この2021年の年頭にあたり、私の所感を述べます。
私もコロナ禍の中で昨年2020年4月からツイッターでの言論活動を再開しました。そして、翌月の5月11日から「お金のしくみ」オンライン勉強会を始めました。勉強会では国政の現場で見聞きし知った事実を伝えています。実は一昨年の時点ではそれらの事実を伝える言論活動にくじけ、もうこれ以上言論活動を続けても世の中は変わらないと諦めていました。しかし、このコロナ禍の中で、変わるまで事実を伝え続ける必要があるという確信を初めて持つことができました。
強い動機になっているのは、本当の意味での「将来の世代への責任」です。
その責任を果たしたいと思いました。
「将来の世代への責任」といっても、私の立場は、国債のことを「国の借金」と呼び財政を緊縮させてきた今までの主流派の立場とは全く違います。
私の立場は、いまの現役世代の人たちが働きやすい状況を作ることが、社会を支える層を強くし、ひいては社会全体を強くすると考える立場です。そして、どの世代でも普遍的に自分の意思と能力に応じて働くことができ、社会の一員として充実した人生を送れるようにいま環境を整えることこそが、いまから大人になる子どもたちやこれから生まれてくる人たちに対して、本当の意味で責任を果たすことになると考えます。
これに対して、国債のことを「国の借金」と呼ぶ現在の主流派の立場は、財政を緊縮させ、国民に十分な公的サービスを受けさせないことが、正しいと主張しています。しかし、彼ら財政緊縮派の立場によりこの30年間日本で実践されてきた経済政策では、例えば、就職氷河期世代以降の人やシワ寄せを受ける女性の方たちは、労働の非正規化、分断化で、とても厳しい生活を強いられる結果を導くこととなりました。そして、彼ら財政緊縮派は、非正規で働く人たちの苦しい生活を「自己責任」という一言で片づけ、環境を整えることを放棄しています。彼ら財政緊縮派は、将来の世代が豊かに暮らすことができるようにする芽を摘んでしまっています。実際に、この30年間日本で実践されてきた経済政策の結果、一部の人たちだけが富を巻き上げ、多くの人たちは生活に苦しむ社会構造が固定化されるに至っています。
しかし、そもそも世界一の純債権国として世界各国の人たちから「お金持ちの国」と認識されている日本において、非正規化や低所得化で人びとが生活に苦しんでいるということは客観的に見ればこっけいにさえ見えることです。
一部の人たちが富を収奪する構造を変えるためにも、事実を事実として認識できる「場」がすこしでも多く社会に存在していることが必要です。だから、私は、私にできることとして、その事実を共有することができる一つの「場」として「お金のしくみ」の勉強会を続けていこうと考えました。またその「場」を維持していくためにも私自身がより人の話を聞き、また、自らの表現もより磨いていかなくてはならないと考えています。
以上が、私の年頭所感です。あらためてになりますが、今年もよろしくお願いいたします。また、今年が皆さんにとって、よりよい一年になりますように。心よりお祈りいたします。
(2021/01/01 23:44)
税金と「お金」の関係
今日のNHKスペシャル「コロナ危機 女性にいま何が」を見ました。
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/JPG53JR2N6/
コロナ禍のしわ寄せが女性の雇用に影響し、ひとり親家庭にも共働き家庭にも深刻な影響が出ていることが伝えられていました。こういう報道を見る度に、日本国政府が日本国民を守れていないことに、怒りと憤りを感じます。
私は日本が財政を拡大すれば、日本に生きる全ての人が安心して平和に暮らせるような社会が実現できることを伝えてきました。消費税をゼロにもできる「お金のしくみ」のオンライン勉強会を主催しているのも、財政の拡大が可能であることを論理的に伝えるための一環です。
果たして本当に「お金」は日本国にないのか。
結論から言えば、日本国には世界最強の通貨「円」を自国で生み出す力があります。「お金」はいくらだって生み出せます。世界最大の純債権国の国民が貧困に曝されているなんて、理不尽以外の何ものでもありません。
それならば、日本国は何のために日本国民に税金をかけているのか。
税金の本当の目的は何なのか。
この記事では、税金と「お金」の関係、言い換えると、税金が「お金」の価値に与える影響を説明します。
今のコロナ禍で困っている人たちが困らずに生活できるような財政政策をとることは可能です。この記事がその事実を理解していただくための入口の役割を果たすことができれば、幸いです。
1.通貨発行の2つのパターン
国家は自国通貨の発行権を持っています。
この「通貨発行権」が税金と関係しています。
ちなみに、EU加盟国は自国通貨の発行権を持っていないので、この原則の例外に当たりますが、EUの特殊事情まで扱うと、いきなり話がややこしくなるので、今日の記事ではEUの特殊性については触れません。
自国通貨の発行の仕方は、大きく分けて
・「政府通貨」の形で発行している国
・「中央銀行通貨」の形で発行している国
の2つのパターンがあります。
日本も、明治初期の日本銀行設立前の段階では政府通貨の国でした。その後、日本銀行が設立されて、中央銀行通貨の国になりました。
今の世の中の常識では、政府は通貨発行権を持っておらず、中央銀行が通貨発行権を持っている、ということになっています。それでは、中央銀行とはどういう機関なのか。実際は、政府からは独立している機関とは言うものの、実際のところは政府の一機関に過ぎません。
次に、なぜ、通貨発行権だけ政府全体から独立させて、別の政府機関を作ったのでしょうか。
それは、インフレを抑えるためでした。
インフレとは、物価が上がってしまう現象のことです。物価とはモノの値段なので、通貨との関係から別の言い方をすると、通貨の価値が下がってしまう現象とも言えます。
インフレを抑えるためには、世の中に出回っているお金を減らす必要があります。そこで、中央銀行を設立して、金利を使って世の中に出回っているお金を中央銀行に吸収させるというアイデアが生まれました。(中央銀行がインフレを抑えるしくみについては、今日のテーマではないので別の機会に説明します。)
そうすると、いくら頑張ってもインフレが収まらないというようなことがなければ、中央銀行をどうしても作らなければならないというものではないということになります。
そこで、まずは、通貨の発行が「政府通貨」で行われている時の、税金と「お金」の関係から説明することにしましょう。
2.「政府通貨」の国の場合
国家が予算を作るとき、税金を集めて財源にする一方、歳出に必要な税金を国民から徴収できなかった場合には、政府通貨を発行して財源に充てることになります。
明治10年の西南戦争の時にも、明治政府は戦費の調達を政府紙幣(政府通貨)の増発によってまかないました。この結果、インフレが起こってしまったので、明治政府は財政を緊縮の方向に持っていくとともに、日本銀行の設立に向かうことになりました。この事実は、日本銀行の設立までは日本も政府通貨を発行して歳出の財源にしていたということを表しています。
政府通貨の国では、ある意味では単純です。
税金が足りなければ政府通貨を発行すればいいだけです。
しかし、そうすると、「税金を取るのはなぜなのか」という哲学的な問いが生まれます。
まず一つ目の理由は、物価を抑えるためです。
もし、政府が国民から全く税金を全く取らなければ、際限なく世の中に出回るお金が増えることになります。世の中に出回るお金の量が増えると、1単位当たりのお金の価値は低くなります(正確には、低くなる可能性が高くなります)。お金の価値が低くなるいうことは、物価が上がるということになります。
そこで、政府は国民から税金を取ります。税金を取ることで、世の中のお金をいったん政府が回収して、再び政府の支出により世の中にお金を流していくことになります。税金を取らずに歳出全てを政府通貨の発行でまかなうことに比べて、税金を取った分だけ世の中に流通するお金の量が減ることになります。
その結果、税金を取ることは、物価を抑えることに繋がります。
税金を取る二つ目の理由は、通貨を強制的に流通させるためです。
もし、税金を全く取らなければ、国民が経済取引をする際に、どの通貨を使うかは、国民が自由に決めることになります。そうすると、富の再分配など、政府が国民の生活をより良くする政策を実行しようとしても、国家が発行する通貨が国民に使われていなければ政策は実行できません。より具体的に言えば、政府が発行する通貨を使って国家の事業をしようとしても、その通貨を国民が使っていなければ国民を動かす手段にはなりません。
そこで、国家は国民に「税金」として国家に自国通貨建てでお金を払う義務を課します。そうすると、国民は自国通貨を持たなければ納税できないことになります。納税しなければ、脱税になります。国家は国民が脱税すれば、刑事罰を科せます。つまり、脱税した人は国家に逮捕され刑務所に入れられてしまいます。
このように、国家による逮捕権が担保になって、納税義務は国民に対して強制力を持ちます。そこで、国家は国民に自国通貨建てで納税させることによって、自国通貨を自国内で強制的に流通させることができるようになります。
3.「中央銀行通貨」の国
税金と「お金」の関係については、中央銀行通貨の国でも、2の「政府通貨」で書いたことがそのまま当てはまります。
政府通貨の国が中央銀行通貨の国に移行することの目的は、税金を取ることだけでは物価の上昇を抑えられないときに、金利を操作することを通じて物価の上昇を抑えることにあります。
つまり、税金が物価を抑える手段であることは、中央銀行通貨の国でも変わりません。中央銀行が行う金利の操作という物価を抑える手段は、税金という物価を抑える手段の他に、更に物価を抑える手段として考えられたものです。
そのため、中央銀行通貨の国でも、税金と通貨の関係は政府通貨の国と変わらないことが分かります。
4.MMTが唱える「スペンディングファースト」の意味
以上のように見ると、国家にとっては、税金よりも先に政府支出があり、その後で通貨価値を高めるために税金を課しているということが分かります。
MMT(現代貨幣理論)はこのことを「スペンディングファースト」と呼んでいます。つまり、何もMMTは特別なことを言っているわけではなく、この論点については、MMT論者は事実を述べているだけです。
経済学についてどのような学説に立とうとしても、以上のような税金と通貨の関係は争いができない事実です。
素直にしくみを見ることで、国家は税金を何のために国民に課しているかということが分かります。
結論は、税金は物価を下げるために国民に課している、ということです。
5.関連する論点
このように見てくると、関連する論点として、今度は、「中央銀行通貨」の国で発行されている「自国通貨建ての国債」とはどういうものなのか、という疑問が出てくるかもしれません。
結論から述べると、国債は「利息付きの通貨代替物」とでも呼べるものです。
この説明は7年前、2013年のブログに書きましたので、そちらをご覧ください。
「国債とは何か(「国債のひみつ」2)」
https://tezj.hatenablog.jp/entry/20131013/p1
今日のブログ記事で御疑問があれば、ツイッターやFaceBookで御質問をお寄せください。よろしくお願いいたします。
(2020/12/06 00:24)
「お金のしくみ」第17回オンライン勉強会
「お金のしくみ」第17回オンライン勉強会
12月21日(月)21:00~22:00(延長希望があれば~22:30)
お金のしくみを知ると経済的な問題の解決策が分かります。どなたでも無料で参加していただけます。
https://us02web.zoom.us/j/82370087406?pwd=V1Z3Y2NrRCttdXFPbE8rcVFGRHJFdz09
ミーティングID: 823 7008 7406
パスコード: 296724
(2020/12/21 20:10)
信用創造の第3の経路 外貨建て資産
経済を考える時には、日本銀行が生み出したお金が、どのようにして市中銀行によって膨らまされて民間に流通しているのかという「お金のしくみ」を知ることが大切です。
日本銀行が生み出したお金のことを「マネタリーベース」と呼び、市中銀行によって膨らまされて民間に流通しているお金のことを「マネーストック」と呼びます。この二つの差、言い換えれば、市中銀行がお金の量を膨らませることを「信用創造」と言います。
この「信用創造」について、従来から私は、2つの経路を説明してきました。
1.銀行の貸し出し
2.政府の国債発行+政府支出増
の2つです。
ただ、厳密に言えば第3の経路があります。備忘的にそのことを書きます。
それは、市中銀行が、円貨を発行して外貨や外貨建て資産を購入する場合です。
つまり、
3.外貨や外貨建て資産を銀行が購入する場合
です。
例えば、民間企業や民間人が持っている外貨や外貨建て資産を円と交換したり円建てで購入したりする場合は、
銀行の資産として、外貨や外貨建て資産が増え、
銀行の負債として、銀行預金が増えます。
この瞬間、マネーストックが増えます。
これが第3の経路です。
しかし、逆に、外貨建て資産を円建てで売ったり、
外貨を円貨に交換したりすると、逆の流れになるので、
銀行の資産として、外貨や外貨建て資産が減り、
銀行の負債として、銀行預金が減ります。
このように、結局、日本の銀行が外貨や外貨建ての資産を円貨で買っている場合にのみ、マネーストックが増え、その逆のことをすればマネーストックが減るので、結局、国内物価に影響を与えるような程度の変動にはならないと推測できます。
実際に、資金循環統計の「預金取扱機関」の「資産・対外証券投資」と「資産・その他対外債権債務」の合計は、おおよそ110兆円~130兆円の枠の中で増減しているだけです。
https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&lstSelection=FF
以上のように、国内経済の変動を考える上では、信用創造の第3の経路は無視してもいい程度であると私は考えています。
(2020/11/28 12:28)
「お金のしくみ」第16回オンライン勉強会
「お金のしくみ」第16回オンライン勉強会
11月30日(月)21:00~22:00(延長希望があれば~22:30)
どなたでも無料で参加していただけます。
https://us02web.zoom.us/j/81341618996?pwd=ZlJZNjNKN1RrVzd1M1VtcGEvN0FuZz09
ミーティングID: 813 4161 8996
パスコード: 512993
(2020/11/24 08:41)
岩村充『国家・企業・通貨』
評者は「お金のしくみ」を理解する参考書とは何がいいかと聞かれることが多いです。この本はお勧めしたい本の中でも突出してお勧めしたい本です。
国家・企業・通貨: グローバリズムの不都合な未来 (新潮選書)
作者:岩村 充
発売日: 2020/02/19
メディア: 単行本(ソフトカバー)
日本のような対外純資産国は、貿易黒字を積み上げて今日の国際的な地位を得ています。しかし、純粋に国内経済面を考えると、貿易黒字=資本流出なのであまりいいことではありません。
逆に言えば、途上国が経済成長するには、先進国から資本を流入してもらえるような条件が必要です。
岩村氏は「資本が移動するためには、統治力ある国家、資金提供者を安心させる企業制度、さらに金融市場での資金循環を支える通貨制度の整備が不可欠でしょう。」(本書『国家・企業・通貨』p.90)と述べています。
本書は、近代資本主義の基本的3要素である
・国民国家
・株式会社
・通貨
の3者とそれらの関係を記した本です。
「お金のしくみ」について基本的な知識を得たい人は、ぜひご覧ください。
(2020/11/13 08:13)
日本が作る新しい世界秩序
今年のコロナ禍で多くのことが変わりました。世界経済の構造も多くの人が実際の姿を知るようになりました。2020年は「アフターコロナ」元年として、人の記憶に残る年になりそうです。
今日は、日本の潜在力を活かせば、アフターコロナ時代に日本が新しい世界秩序を作ることができるという話をします。
これからの世界秩序で問題になりそうなのは、自由貿易体制のあり方です。自由貿易体制とは、各国が貿易に制限を設けないで、できるだけ関税もかけないで他の国と取引をすることを言います。
この考え方を自由主義と言います。
これに対して、他国との貿易を制限する考え方を保護主義と言います。
二つの世界大戦の結果、国と国が争わなくてもいいように自由貿易体制が整えられました。日本も自由貿易体制の中で利益を享受し、世界一の純債権国にまで上り詰めました。
この自由貿易の状況がコロナ禍で大きく変わるのでしょうか。大きくは変わらないでしょうし、また、変えるべきでもありません。でも、修正が必要だということも分かってきました。
保健分野に必要な衛生用品や医療用品の供給を他国に依存していると、いざというときに国民の命を守れなくなることが分かりました。
これからは、衛生用品や医療用品をできるだけ自給できるような体制を整えなければなりません。この範囲で自由貿易体制は保護主義の方向に修正する必要があります。
次に、この点で考えなければならないのは、現時点で衛生用品や医療用品を自給できない途上国に対して、先進国がどのような対応をすべきかということです。それに加えて、保健分野の人材の育成も急務です。
私の提案は、
・先進国が自国通貨建ての国債を発行して自国通貨を調達する。
・先進国は自国通貨を途上国に貸し付ける。
・条件は無担保無保証にする。
・金利は低金利(現状でも低金利)
・途上国は貸し付けを受けた先進国通貨を担保にして自国財政を拡大し、医療保健体制を人的にも物的にも整備する。
・途上国の徴税体制の整備や金融体制の整備にも先進国は別のスキームで無償資金協力により協力する。
(途上国が財政を拡大する際には、自国通貨を安定化させるため徴税や金融の体制整備が必要になります。汚職をなくす懲罰的なしくみも必要です。)
というスキームです。
他の先進国は後で付いて来させればいいので、日本から始めればいいのです。このスキームは従来の日本の途上国への援助の形を大きく変えます。政府貸付は、ODA(政府開発援助)の一部です。
現在のODA総額は以下のURLのようになっています。(外務省サイト)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/yosan.html
統計資料を見ていただくと、政府貸付の額は以下の通りです。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/100053711.pdf
2018年
貸出額 8,841億円
回収額 7,237億円
----------------
差し引き 849億円
こんな額しか政府貸付の予算をつけていないなんて、もったいない話です。日本の円は強力です。世界で途上国を味方に付けるため、10倍ぐらいの政府貸出の額にすればいいのです。
日本が国債を発行して円貨を調達して途上国に貸し付けても、使われ方は2パターンしかありません。
・日本企業へ仕事が発注される→日本経済にプラスになる
・円貨を外貨準備として途上国が持ち、途上国が自国通貨建てで自国財政を拡大する→発行された円貨は使われず貯められるので円貨の価値は下がらない
どちらにしても日本経済にとって悪い要素はありません。
返済不能になりそうならば、会計制度と高等教育体制の整備に力を貸し、更に支援を行います。日本に国費留学生として招聘し、日本語を理解する高度人材を育て、本国に帰って活躍してもらうというプログラムも同時に導入します。
そのように考えると、貸出額を一気に10倍規模、8兆円程度にする必要があります。これからの毎年の回収額はそのままなので、一般会計予算を現状の500億円程度→8兆円程度に増額する必要があります。ただ、そのために国債を発行しても、国債の発行残高が増えるだけで何の問題も生じません。今までの財政運営との連続性を守るために一般会計に計上することには問題があると政府与党が思うのであれば、政府貸出に関する特別会計を一つ作れば解決します。
そして、その特別会計の決算には、参議院に特別に長期的な視点から監査を行う専門の機関を設け、不正が起こらない体制を整備します。
緊縮財政の考え方を取り払うだけで、日本は国際的にも大きな投資ができるようになります。アフターコロナ時代に、日本が新しい世界秩序を作ることに繋がります。国内経済の復活のためにも、積極的なODAが展開されるようになってほしいものです。
参考:ODAの予算について詳しい解説は、参議院の調査室が毎年出しています。
令和2年度政府開発援助(ODA)予算(参議院 牛上直行氏)
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2020pdf/20200207074.pdf
(2020/10/25 19:46)
バブルの発生と崩壊のしくみ
2020年10月18日(日)に、バブルの発生と消滅について質問があったので、ツイッターのグループDM「お金のしくみ」質問箱で答えました。その後もバブルについて追加質問もあったので、参照しやすいようにまとめました。(2020年10月26日)
-----
2020年10月18日 午前9:27~
私たちロスジェネ世代以下の世代は、1971年以降の経済の流れを知る必要があると私は感じています。特に、1985年のプラザ合意以降の動きが重要です。
1985年プラザ合意
→円高の発生
→輸出不振、「円高不況」
→金融緩和
となりました。金融緩和の結果、あふれてきたお金は社会全体で投機に回るようになります。バブルの発生です。
金融緩和でお金があふれる
→不動産投資にお金が流れる
→地価高騰、不動産価値の上昇=担保価値の上昇
→新たな貸し出し増(信用創造の第1の経路)=国内に流通するお金が増える
→土地価格の上昇+貸し出し増という循環が始まる
→バブルの発生
バブルの結果、経済は良くなりましたが、土地が上がりすぎて、国民が住宅を買えないようになってしまいました。社会問題になりました。
そこで大蔵省銀行局が行った政策が「総量規制」です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%8F%E9%87%8F%E8%A6%8F%E5%88%B6
これは「不動産向け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑えること」が内容です。表現自体はマイルドなのですが、劇的な状況を生むことになります。
不動産業者は今まで通り、簡単にお金が借りられるということを前提に土地を買いあさっていました。総量規制により、総貸出の伸び率以下に不動産向け融資の伸び率が制限されるということになると、貸出量は激減します。
そうすると、今まで通り資金を貸してもらうことを前提としていた不動産業者の資金繰りが悪くなります。返済は通常通り、行う必要もあります。
ここで、不動産が売り始められることになります。
不動産が売られる
→土地の価格が下がる
→担保価値が下がる
→銀行が追加の担保を要求する
→追加の担保がないので、不動産を売却する
→さらに売り物が増える
→更に土地の価格が下がる
という循環でどんどん不動産価格が下がっていきました。
担保価値が下がっていくので、銀行の資産である「貸出債権」が痛んでいきます。これを「不良債権」と呼びます。
日本がそれから先、今日まで苦しむ問題の発生です。
1993年から就職氷河期が始まります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%B1%E8%81%B7%E6%B0%B7%E6%B2%B3%E6%9C%9F
ロスジェネ世代がこのような経済の悪循環に最前線に立たされることになります。不良債権問題を解決するために、銀行の救済が優先されます。
本当は財政を使ってこの状態を回避する方法を採るべきでした。
私が「お金のしくみ」オンライン勉強会を始めた理由は、このような構造を多くの人に伝えて情報を共有したいと考えたからです。
-----
以上が、バブルの発生と崩壊のメカニズムです。
次回、第14回「お金のしくみ」オンライン勉強会の告知です。誰でも参加していただけます。
「お金のしくみ」第14回オンライン勉強会
10月26日(月)21:00~
https://us02web.zoom.us/j/81053597210?pwd=Ynl0ckJmNk5neFl4RUR0S0UzZjRDZz09
ミーティングID: 810 5359 7210
パスコード: 384187
(2020/10/26 07:13)
敗戦の日に思う これからの日本の役割
75年前の今日、日本は戦争に負けました。
軍部は間違った経済観の下で戦争を始めました。
当時の政治家は軍部を止められませんでした。
また、大蔵省や日本銀行は軍部の誤りを正せませんでした。
彼らは軍部の言いなりに戦費を調達しました。
日本の緊縮財政の伝統は、その反省から始まっています。
そして、その日本の緊縮財政の伝統は、
財務省が日本国民を信用していない裏返しです。
自国通貨建て国債の発行は問題がないと知られてしまうと
戦前のように戦費の調達に使われ、日本国民は戦争を選択し
「再び戦争の惨禍が起る」(日本国憲法前文)と彼らは思っています。
私が「お金のしくみ」を伝える活動を再開したのは、
このコロナ禍で世界一の純債権国・日本が、世界の中でどのような役割を果たさないといけないのかを、もう一度、皆さんと共有したいと心に決めたからでした。
第2次世界大戦は、ドイツと日本が戦争を始めました。
戦後、両国は戦争をしない国として生まれ変わり、経済大国となりました。
純債権国として、日本とドイツは世界第1位と第2位と肩を並べています。
しかし、1971年から始まった信用通貨の世界の中で、
「自国のことのみに専念して他国を無視」(日本国憲法前文)しているかのように、
日本とドイツが、
自分たちの持つ力を独占して世界に対して分け与えず、
自国のためのみに使っている現状は、
第2次世界大戦の戦前・戦後と何も変わりません。
信用通貨の世界では、
純債権国が自国通貨を発行して世界中に支援をし、
世界経済を回していかないと、
世界経済が悪くなったとき、
その影響は対外収支の赤字国、対外純負債国を直撃します。
ドイツはドイツの国益を優先するあまり、
ユーロをドイツの国益を最大限に発揮する通貨にしてしまいました。
ドイツは、通貨としてのユーロの価値を維持しつつ、
ドイツの通貨としては割安になるようにユーロを設計しました。
そのドイツのずる賢さ、
ユーロに秘められたねらいはあまり報道されません。
いま、日本がすべきことは、「財政破綻論の誤り」を自覚し、
積極的に日本円を世の中に出すために国債を発行し、
日本国内外に日本の「円」を行き渡らせ、
日本と世界の経済を回復させることです。
それは、ドイツと違って、
自国の判断で自国通貨を発行できる日本だからこそできることです。
8年前に書いたように、
国債を発行すると、世の中に流通するお金の量が増えます。
「国債を発行すると相当額の預金が増えるのはなぜか」
https://tezj.hatenablog.jp/entry/20120803/p1
しかし、このコロナ禍では、お金が増えても決済には使われずに多くは貯金に回ります。インフレにはなりません。
また7年前に書いたように、
国債は政府の借金というよりも通貨の代替物です。
「国債とは何か」
https://tezj.hatenablog.jp/entries/2013/10/13
だから、日本が世界のために財政を拡大しても、日本の財政は破綻しません。
以上述べた話は、未だ世の中では理解されていません。
引き続き、取り組んで参ります。
【告知】
明後日8月17日(月)午後9時~10時
「お金のしくみ」第9回オンライン勉強会を行います。
質問が続けば最長30分延長します。
なぜ自国通貨建て国債は問題なく発行できるのか、
基本的なところから皆さんと一緒に考えます。
https://us02web.zoom.us/j/89597799504?pwd=SU5URHNicklxajNDNWJ3QzJZRU1nZz09
(2020/08/15 11:32)
「お金のしくみ」のオンライン勉強会を始めます
「お金のしくみ」のオンライン勉強会を始めることにしました。
すでにツイッターで繋がっている人と6回のオンライン勉強会をいたしました。より広く、自由に参加していただけるように、この度、一般に告知します。
第7回(公開型の初回)は7月20日(月)21時(午後9時)から行います。
Zoomミーティングの形でいたします。
us02web.zoom.us
会に先立ち、主催者として、この勉強会の趣旨をお伝えします。
この勉強会は、日本を、すべての国民がだれ一人として経済的に困ることなく、心豊かに暮らせる国にするために、有志で始めた勉強会です。
バブル経済崩壊後、この30年間にわたる不景気は、何が原因だったのでしょうか。
そうです。政府が、いわゆる「緊縮財政」の方針をとり続けてきたことが原因です。しかし、その原因も、結果との因果関係も未だ未だ知られていません。私たちが望んでいるように、今までの財政政策を転換して、日本の隅々までお金を回すような積極財政を行える政治にするためには、私たちが誰から聞かれても相手に安心して聞いてもらえるような説明ができることが必要です。
そのための情報共有をする場所として、この勉強会は作られました。
そのため、いつ初めて来られた方でも、専門知識を持たなくても理解できるように、基本的なことは繰り返し、何度でも説明をいたします。
参加される方の中には「もうその話は聞いたよ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。そのような方は、より分かりやすく説明するためには、どうしたらいいだろう という視点から参加していただければ幸いです。
勉強会の形式としては、皆さまからいただくご質問に対して、私が分かる範囲で答えるという形を取ります。私が分からないことを分かっているかのようには答えません。分からないことは分からないと言います。次回への宿題という形で、お預かりいたします。
このオンライン勉強会は、ツイッターとも連動していきます。グループダイレクトメッセージも開いています。参加を希望される方は、私までダイレクトメッセージをお送りください。
指定するテキストとしては朴勝俊、シェイブテイル共著の「バランスシートでゼロから分かる 財政破綻論の誤り」という本を使います。数日前、6月25日に発売された本です。とても分かりやすく、いい本です。
バランスシートでゼロから分かる 財政破綻論の誤り
作者:朴 勝俊,シェイブテイル
発売日: 2020/06/25
メディア: 単行本(ソフトカバー)
ただ、本だけでは勉強しづらいという方もいらっしゃるので、このような勉強会の役割は大きいのではないかと考えています。
2~3週間に1回、月曜日の21時から1時間で開催する予定です。質問が残っていれば、30分延長します。よろしくお願いいたします。
(2020/07/08 11:46)
「クラウディングアウト」は起こらない
昨日、大阪で行われた勉強会に参加してきました。
https://ameblo.jp/yokofutorase/entry-12605685118.html
いち参加者として、ほかの参加者からの質問に答えるという形は、とても居心地がよかったです。また、いままでに知ったことを一人の民間人として伝える側に回ることもとても大切なことだと実感しました。
さて、その中で受けた質問に対して、ブログでも書いておきます。
質問は「国債を発行すると、お金が政府に取られるので、それだけ民間に回るお金が少なくなるのではないか」という質問です。
経済学では「クラウディングアウト」(締め出し効果)と言われるものです。
いままでの主流派経済学では、[国債の発行+政府支出増]という「信用創造の第2の経路」を無視しています。そのため、国債を発行しても通貨の供給量は増えないという立場を取っています。
(ちなみに、この主流派経済学の立場は、事実誤認をしています。しかし、この間違っている立場が多数派なので、間違いを指摘されても今のところ多数派は無視しています。このように、事実誤認しているのが多数派なので、マスコミでも事実誤認の事実は指摘されません。)
そのため、いままでの主流派経済学では、「国債を発行すると、政府がお金を取ってしまうので、金利が上がり、民間にお金が回りにくくなる」という説明をしています。
民間へ回るお金が締め出されるということから、クラウディングアウトと呼ばれています。
しかし、実際には、国債発行の際に銀行からいったん政府に流れた日銀当座預金(いわゆる準備預金)は、支払いの決済のために政府から戻ってきます。
より具体的に言い換えると、政府が支出するときに支払いに使われた小切手は、その小切手を受け取った民間企業・民間人が市中銀行に持ち込みます。そして、次にその小切手を市中銀行が政府に換金するときに政府は日銀当座預金を市中銀行に戻します。
つまり、市中銀行は、
・資産として国債が増え、
・負債として銀行預金が増え、
→イーブンになります。
政府は、
・負債として国債が増え、
→負債増になります。
民間企業・民間人は、
・資産として銀行預金が増えて、
→資産増になります。
このように、[国債の発行+政府支出増]というプロセスでは、クラウディングアウト(締め出し効果)は起こらず、逆に民間(企業・人)の資産が増えることになります。
財政緊縮派がよく言っている「このまま国債を発行し続けると、いつかは個人金融資産が国債発行額に追いつかれて国債発行ができなくなる」という話は、以上のようなロジックでありえません。現実的に、いつまで経っても差は縮まりません。
但し、金融引き締めを行う時には、クラウディングアウトではありませんが、クラウディングアウトに似た状況は起きます。
日本銀行がインフレを抑えるために、金利を上げた場合、民間の借り入れは減ります。そうすると、信用創造の結果生まれたお金のうち、[国債の発行+政府支出増]の分は減りませんが、民間の借り入れで生まれた分は減ります。
このような状況をクラウディングアウトと呼べなくないかも知れませんが、国債の発行によって締め出されているわけではなく、金融政策で信用収縮が起きているので、クラウディングアウトではないというのが正確です。
(2020/06/21 11:54)
アベノミクス第二幕
もうあまり時間は残されていません。気づいている人は多くないと思います。あと7ヶ月です。
アベノミクス第二幕が始まります。
私の分析では、最短で来年の6月頃です。この7年間とは質の違う、大規模な経済政策です。今までは布石でした。
この予想が外れてくれることを私は願っています。(2020/06/14追記:外れてくれてとても良かったです。野党に時間的な余裕ができました!)
早く、野党が団結をして、安倍政権に先んじて、経済政策を打ち出してくれることを望んでいます。その思いを込めて、この原稿をブログに載せます。いま書いている原稿が第五章第四節まで来ました。その部分だけをまずお伝えします。
-----
第五章第四節 本当の解決策 国債の発行と財政の拡大
ここまで述べてきたように、黒田総裁の7年間の方針は、徹底的な金融緩和をしても、日本の経済は再生しないという結論を実証するための実験だった。このような実験は、綿密な分析を行ってきた三人、つまり、安倍晋三総理大臣、麻生太郎財務大臣兼金融担当大臣、黒田東彦日本銀行総裁の三人が揃わなければできなかった。
次にこの三人が狙うのは何か。
異次元緩和の次の段階、そう、異次元の「財政の拡大」である。
時期はいつか。
ここで、消費税の増税時期が重要になる。2019年10月に消費税は8%から10%に上げられた。財務省としては、2010年の菅政権から9年越しで狙ってきた消費税増税が完成した瞬間である。それでは、9年前にはどのような議論があったか。リーマンショック級の経済の不調があれば、消費税の増税を行わないという「景気条項」という条文があった。
今回行われた8%から10%への消費税増税は、当初、2015年10月の予定だった。
・2014年11月に、2017年4月へ1年半延期
・2016年6月に、2019年10月に2年半延期
という形で2回に渡り、計4年間も延長されてきたわけである。
その背景には、「アベノミクス」と称して経済政策を重視してきた安倍政権が、消費税増税の悪い影響を懸念して、先延ばしにしてきたことが理由である。
今回、三回目の延長をしなかったのは、これを機会に、次の段階に入ろうとしているのだと私は分析する。
異次元緩和をしても経済が再生できなかった場合、どのような状況が整えば、国債の追加発行と財政の拡大ができるだろうか。
よく考えてみれば、財務省の言うとおりに増税をして、景気が悪くなったときである。つまり、経済対策が切れて、悪い影響が出始めたときに、次の段階に入ることが政治的に許される。
そうすると、その時期は、消費税の経済対策が切れる2020年6月以降だ。悪い影響が明らかに現れる、東京オリンピックが終わった2020年秋は、最大の機会になる。
安倍政権は、経済対策という錦の御旗を得て、第二次安倍政権成立直後の2013年1月に10兆円の補正予算を組んだように、多額の補正予算を組み、自民党・公明党を支持する利権団体への露骨な利益誘導を行う。
また、野党の息の根を止めるために、保育園の無償化だけでなく保育士の給料を増やす政策、介護人材不足を埋めるための介護士の給料を増やす政策、若い世代からの支持を確固とするために大学の無償化(約3兆円)と若い世代への月額数万円の手当の給付(月2万円ならば約3.6兆円)を行う政策を実行する可能性もある。
国土強靱化の予算として更に5兆円としても、15兆円の補正予算を組めば十分だ。
その時に総選挙を行うかもしれない。
そして、次の年からも、物価がインフレ目標の2%まで上がらなければ、一年ごとに右で述べたような政策を補正予算で実行していく。その頃までには、国債が国家の借金というよりは、日本銀行当座預金=銀行の「普通預金」、国債=銀行の「定期預金」という理解が進むだろう。このようなプロセスを通じて、財政の拡大が恒常化していく。
そうすると、補正予算ではなくて、本予算で財政が拡大されるようになる。
この経済・財政の構造変化を完成させることができれば、安倍政権は更に長期の任期を得ることができる。私の感覚では、自民党総裁任期は2021年から始まる4期目どころか5期目・6期目も見えてくる。
そうすると、2030年まで安倍政権が続く可能性がある。
野党には、いま、政治的に危機的な状況にあることを認識していただく必要がある。
-----
私が書く本なんて必要ないような社会になって欲しい。
そう思います。
(2020/06/14 14:20)
止揚の議論が必要 リフレ派とMMT
私はリフレ派でもMMTでもありませんが、
両者がともに「反緊縮」で「消費税増税反対」にもかかわらず、
「反緊縮」同士で内輪もめしているのがとても残念です。
両者の議論は、いま、止揚(しよう)が必要です。
具体的に言いましょう。
デフレの状態なので、
リフレ派の経済政策が限界があるのは自明のことです。
いくら金融緩和をしても、マネーストックは増えません。
ちなみに、私はリフレ派に対して、
今の状況ではいくら金融緩和をしてもマネーストックは増えないので、
物価は上がりませんよと2013年の黒田総裁登場から申しておりましたが、
その声は聞いてもらえませんでした。
6年経って、リフレ政策の効果がでないことが実証されました。
そこで、今度はMMTの登場です。
私のことをMMTerと表してくださる方も出てきました。
そういう評価はうれしさ反面、
MMTerが鬼の首を取ったような表現をされているのにも、
私はちょっとちがうかな、という気持ちを持っています。
私がそう思う理由を端的に言えば、
インフレ期には金融政策が必要、
デフレ期には財政政策が必要、
ということです。
今の経済情勢でMMTの方が情勢がいいのは、
単に、今がデフレ期に居るからです。
もっとも、リフレ派の政策ではいつまで経ってもデフレから脱却できないので、
リフレ派に対するMMTの批判は的を射てるのでとてもリフレ派は痛いです。
しかし、MMTはMMTで金融政策を全面否定しています。
例えば、国債を否定しているのですが、
国債はインフレ期には絶大な信用収縮の機能を発揮します。
インフレ期には、財政政策だけでなく、
財政政策と金融政策を組み合わせる方が効果的なのは、
1+1=2みたいな話なので、誰もが理解できるはずです。
この点をMMTは純粋な理論的美しさを取ろうとするのですが、
残念ながら、インフレ局面においては、
弊害を取る手段は一つでも多い方がいいです。
そういう意味では、
両方の立場は、相反するものではなく、
状況によって使い分けなくてはいけないものだと言えます。
両方の立場を止揚(しよう)する議論が今こそ必要です。
こういう話をどこかで解説したいと思います。
(2019/11/18 00:17)
中村てつじ facebook 最近の写真
このサイトは政治家「中村てつじ」の公式サイトです。このサイトは、中村てつじとその仲間たちが自分たちで作っています。素人くささ満載で、はなはだ不十分ですが、逆にその至らなさを楽しんでいただければ幸いです。
Sorry. This content use IFrame
Powered by NetCommons2
The NetCommons Project