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中村哲治「日本再構築」ブログ
最終更新時刻
2022/02/26 08:41
作成
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サイトURL
https://tezj.hatenablog.jp/
ロシアのウクライナ侵攻
2月24日ロシアがウクライナに侵攻しました。
まずこの暴挙に対しては明確に抗議を申し上げます。
ただ一方で、今回の件はロシア側から見た事情があまり報道されていないように感じます。ロシアにしてみても侵攻する以上、自分たちも無傷で終わるわけではない。でもなぜ侵攻したのか。そこが気になります。
現代の国家にとって「領土」は物理的な土地ではなくて「通貨圏」になっています。その意味でEU圏の拡大(裏側から支える軍事同盟であるNATOの拡大)というのは、ロシアにとって脅威になっていると言えます。
翻って考えれば世界最大の対外純資産国である我が国が、ロシアとウクライナとの間で起こっている問題を解決する手段を「円」の力を使って提供することはできなかったのかと思います。
佐藤優さんの2月4日時点での解説です。「問題の根源はドネツクス州とルガンスク州というところ。ここは住んでる人はロシア系の人で親ロ派の武装勢力が実効支配してるわけです。その人たちはウクライナから離れてロシアに行きたいと思ってるんですね。ただ、プーチンは併合するようなことはしてない。ただし、ウクライナはそこに無人飛行機を飛ばしたりしてかなり挑発してるんですよ」
https://www.joqr.co.jp/qr/article/41504/
続けて2月18日時点の解説です。「ポイントはミンスク合意。ミンスク合意をちゃんと履行してくれればこの問題は終わるわけです」
https://www.joqr.co.jp/qr/article/43039/
「平和維持のためには、ミンスク合意とウクライナ政府がドネツク、ルガンスクの代表と話し合わなければいけない。しかし、ウクライナ側はそういう連中とは話ができないと言って一切対話することを拒否してるんですね。ウクライナの態度にすごく問題があると思うんです」
更に12月17日時点の解説です。「ウクライナの大統領の支持率は7割あったのが、今、経済がうまくいかず、政治も混乱していて4割以下になってます。ウクライナの東の方のルガンスク州とドネツク州、ここはルガンスク州は3分の1、ドネツク州は半分が親ロシア派武装勢力に実行支配されてる。大統領はここを取り戻してウクライナの主権回復をしようとしている」
「実はここに住んでる人たちは、ロシア語を日常的に話していて、1人残らず自分のことをロシア人だと思ってます。できればロシアに併合したいと思ってます。ロシアでは14歳以上は国内パスポートを持ちますが、これはいわゆる国籍証明書。それを持ってる人がここに60万人いる。ロシアのプーチンからすると、内戦になってこの人たちを見殺しにしたら同胞60万人を見殺しにしたとなって、政権崩壊する。だから圧力をかけるということで、軍隊を集めてるわけです」
昨日2月25日時点での解説です。「やっぱりやったかという感じでしたね。ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国を承認して友好相互援助条約を結びましたよね。ロシアというのは国際法を無視しないで、乱用するんです。国連憲章で認められている集団的自衛権で、同盟関係がある国に要請されて出ていく、こういったフィクションを作ってるわけです。条約を作った瞬間にいつ侵攻するか時間の問題だと見てました」
https://www.joqr.co.jp/qr/article/43829/
「今後の狙いはずばり、ウクライナが二度とロシアに反抗できないようにするという形で軍事力で叩き潰す。そしてゼレンスキー大統領の首をすげ替えること。大統領を変えることです」
「プーチン氏自身もウクライナの占領は考えていないと明言してますから。ドネツク、ルガンスクに関しては親ロ派が占領してる地域以上、全域を支配するんだと思います」
私も今この期に及んで何ができるというアイデアがあるわけではないですが、大元にはウクライナの経済活動が不調で支持率を上げようとしているゼレンスキー大統領の焦りがあるのであれば、日本が円の力を使って何かできなかったのかと思うのです。
(2022/02/26 08:41)
オンラインサロン「お金のしくみ」塾のご案内
「お金のしくみ」オンライン勉強会が2020年中に17回を数えるに至りました。ここで新しい悩みが出てきました。
各勉強会の質問時間に皆さんからいただく質問の大半が、専門的な内容になってしまいました。そして実際に、初めて参加された方から専門的で参加しづらい雰囲気だったという御意見をいただきました。これでは、誰でも参加していただけるような「お金のしくみ」の勉強会という趣旨にそぐわなくなってしまいます。
そこで2021年の「お金のしくみ」オンライン勉強会では、初めて参加される方にも気軽に参加していただけるように、分かりやすい言葉を使っていただくようにお願いをすることにいたしました。
また、このような方針を2020年末第17回の勉強会でお示ししたところ、有料でもいいので中上級者向けの質問の機会を別に設けて欲しいという声もいただきました。そこで、有料の会員制の塾を開設することといたしました。
原則月1回、オンライン勉強会とは別の日に、オンラインサロンの月例会を開催します。塾生へのサービスは入塾してくださった塾生の皆さまからの御意見を伺いながら、内容を整えて参ります。
月謝 月額2000円
参加を希望される方は、以下の「メンバー登録」からお申し込みください。必要事項記載後にクレジットカード決済の画面が出て参ります。必要な情報を入力していただき、決済をお願いいたします。月謝はシステムの都合上、毎月同日に請求されます。
メンバー登録
どうぞ、よろしくお願いいたします。
(2021/01/11 11:35)
消費税をゼロにする方法とは?「お金のしくみ」第18回勉強会
感染爆発の今だからこそ消費税ゼロと所得補償が必要です。財源を国債の発行でまかなっても問題ありません。なぜそう言えるのか。その説明をオンライン勉強会で行っています。
「お金のしくみ」第18回オンライン勉強会
2021年1月11日(月)21:00~22:00(延長希望があれば~22:30)
https://us02web.zoom.us/j/81863418211?pwd=a1ZOckFPSjQ2MGY4QnpnTUdzQTFXUT09
ミーティングID: 818 6341 8211
パスコード: 946483
(2021/01/11 15:39)
2021年頭所感「本当の意味での「将来の世代への責任」」
あけましておめでとうございます。
コロナ禍の中で新年を迎えられ、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。政府が採る対策は不十分なまま、年末12月31日には東京のでコロナの感染者数が1337人と過去最高になるところにまで来てしまいました。私たち国民から見れば、政府も頼れない、しかし、自分たちが持っている手段も少ない。そのような状況の中で、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
多額の予算はつけられているのに、お金が回っていくのは、政府与党との利権を持っている人たちに対してばかりで、膨大な中抜きが起こっている構造も見えてきました。
医療の現場では、人的にも物的にも医療資源はひっぱくしているのに、危険手当も十分に支払われない、人的なサポートも十分ではないことが明らかになってきました。
また、持続化給付金などのコロナ対策の窓口になっているコールセンターでも、現場で電話を取る人たちは非正規社員の方々で、研修も不十分なまま前線に立たされていることも見えてきました。仕事を政府から請け負った事務局の会社からコールセンターを運営している会社までに何重にも中抜きの企業が入っていると推測できます。
政府は「お金がない」と言いながら、中抜き企業には多額の予算を与え、国民が本当に必要としている現場には予算を回さない。
このような政府与党の有様を見て、多くの国民の皆さんが何かおかしいと思われるようになってきたのではないでしょうか。そこで、この2021年の年頭にあたり、私の所感を述べます。
私もコロナ禍の中で昨年2020年4月からツイッターでの言論活動を再開しました。そして、翌月の5月11日から「お金のしくみ」オンライン勉強会を始めました。勉強会では国政の現場で見聞きし知った事実を伝えています。実は一昨年の時点ではそれらの事実を伝える言論活動にくじけ、もうこれ以上言論活動を続けても世の中は変わらないと諦めていました。しかし、このコロナ禍の中で、変わるまで事実を伝え続ける必要があるという確信を初めて持つことができました。
強い動機になっているのは、本当の意味での「将来の世代への責任」です。
その責任を果たしたいと思いました。
「将来の世代への責任」といっても、私の立場は、国債のことを「国の借金」と呼び財政を緊縮させてきた今までの主流派の立場とは全く違います。
私の立場は、いまの現役世代の人たちが働きやすい状況を作ることが、社会を支える層を強くし、ひいては社会全体を強くすると考える立場です。そして、どの世代でも普遍的に自分の意思と能力に応じて働くことができ、社会の一員として充実した人生を送れるようにいま環境を整えることこそが、いまから大人になる子どもたちやこれから生まれてくる人たちに対して、本当の意味で責任を果たすことになると考えます。
これに対して、国債のことを「国の借金」と呼ぶ現在の主流派の立場は、財政を緊縮させ、国民に十分な公的サービスを受けさせないことが、正しいと主張しています。しかし、彼ら財政緊縮派の立場によりこの30年間日本で実践されてきた経済政策では、例えば、就職氷河期世代以降の人やシワ寄せを受ける女性の方たちは、労働の非正規化、分断化で、とても厳しい生活を強いられる結果を導くこととなりました。そして、彼ら財政緊縮派は、非正規で働く人たちの苦しい生活を「自己責任」という一言で片づけ、環境を整えることを放棄しています。彼ら財政緊縮派は、将来の世代が豊かに暮らすことができるようにする芽を摘んでしまっています。実際に、この30年間日本で実践されてきた経済政策の結果、一部の人たちだけが富を巻き上げ、多くの人たちは生活に苦しむ社会構造が固定化されるに至っています。
しかし、そもそも世界一の純債権国として世界各国の人たちから「お金持ちの国」と認識されている日本において、非正規化や低所得化で人びとが生活に苦しんでいるということは客観的に見ればこっけいにさえ見えることです。
一部の人たちが富を収奪する構造を変えるためにも、事実を事実として認識できる「場」がすこしでも多く社会に存在していることが必要です。だから、私は、私にできることとして、その事実を共有することができる一つの「場」として「お金のしくみ」の勉強会を続けていこうと考えました。またその「場」を維持していくためにも私自身がより人の話を聞き、また、自らの表現もより磨いていかなくてはならないと考えています。
以上が、私の年頭所感です。あらためてになりますが、今年もよろしくお願いいたします。また、今年が皆さんにとって、よりよい一年になりますように。心よりお祈りいたします。
(2021/01/01 23:44)
税金と「お金」の関係
今日のNHKスペシャル「コロナ危機 女性にいま何が」を見ました。
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/JPG53JR2N6/
コロナ禍のしわ寄せが女性の雇用に影響し、ひとり親家庭にも共働き家庭にも深刻な影響が出ていることが伝えられていました。こういう報道を見る度に、日本国政府が日本国民を守れていないことに、怒りと憤りを感じます。
私は日本が財政を拡大すれば、日本に生きる全ての人が安心して平和に暮らせるような社会が実現できることを伝えてきました。消費税をゼロにもできる「お金のしくみ」のオンライン勉強会を主催しているのも、財政の拡大が可能であることを論理的に伝えるための一環です。
果たして本当に「お金」は日本国にないのか。
結論から言えば、日本国には世界最強の通貨「円」を自国で生み出す力があります。「お金」はいくらだって生み出せます。世界最大の純債権国の国民が貧困に曝されているなんて、理不尽以外の何ものでもありません。
それならば、日本国は何のために日本国民に税金をかけているのか。
税金の本当の目的は何なのか。
この記事では、税金と「お金」の関係、言い換えると、税金が「お金」の価値に与える影響を説明します。
今のコロナ禍で困っている人たちが困らずに生活できるような財政政策をとることは可能です。この記事がその事実を理解していただくための入口の役割を果たすことができれば、幸いです。
1.通貨発行の2つのパターン
国家は自国通貨の発行権を持っています。
この「通貨発行権」が税金と関係しています。
ちなみに、EU加盟国は自国通貨の発行権を持っていないので、この原則の例外に当たりますが、EUの特殊事情まで扱うと、いきなり話がややこしくなるので、今日の記事ではEUの特殊性については触れません。
自国通貨の発行の仕方は、大きく分けて
・「政府通貨」の形で発行している国
・「中央銀行通貨」の形で発行している国
の2つのパターンがあります。
日本も、明治初期の日本銀行設立前の段階では政府通貨の国でした。その後、日本銀行が設立されて、中央銀行通貨の国になりました。
今の世の中の常識では、政府は通貨発行権を持っておらず、中央銀行が通貨発行権を持っている、ということになっています。それでは、中央銀行とはどういう機関なのか。実際は、政府からは独立している機関とは言うものの、実際のところは政府の一機関に過ぎません。
次に、なぜ、通貨発行権だけ政府全体から独立させて、別の政府機関を作ったのでしょうか。
それは、インフレを抑えるためでした。
インフレとは、物価が上がってしまう現象のことです。物価とはモノの値段なので、通貨との関係から別の言い方をすると、通貨の価値が下がってしまう現象とも言えます。
インフレを抑えるためには、世の中に出回っているお金を減らす必要があります。そこで、中央銀行を設立して、金利を使って世の中に出回っているお金を中央銀行に吸収させるというアイデアが生まれました。(中央銀行がインフレを抑えるしくみについては、今日のテーマではないので別の機会に説明します。)
そうすると、いくら頑張ってもインフレが収まらないというようなことがなければ、中央銀行をどうしても作らなければならないというものではないということになります。
そこで、まずは、通貨の発行が「政府通貨」で行われている時の、税金と「お金」の関係から説明することにしましょう。
2.「政府通貨」の国の場合
国家が予算を作るとき、税金を集めて財源にする一方、歳出に必要な税金を国民から徴収できなかった場合には、政府通貨を発行して財源に充てることになります。
明治10年の西南戦争の時にも、明治政府は戦費の調達を政府紙幣(政府通貨)の増発によってまかないました。この結果、インフレが起こってしまったので、明治政府は財政を緊縮の方向に持っていくとともに、日本銀行の設立に向かうことになりました。この事実は、日本銀行の設立までは日本も政府通貨を発行して歳出の財源にしていたということを表しています。
政府通貨の国では、ある意味では単純です。
税金が足りなければ政府通貨を発行すればいいだけです。
しかし、そうすると、「税金を取るのはなぜなのか」という哲学的な問いが生まれます。
まず一つ目の理由は、物価を抑えるためです。
もし、政府が国民から全く税金を全く取らなければ、際限なく世の中に出回るお金が増えることになります。世の中に出回るお金の量が増えると、1単位当たりのお金の価値は低くなります(正確には、低くなる可能性が高くなります)。お金の価値が低くなるいうことは、物価が上がるということになります。
そこで、政府は国民から税金を取ります。税金を取ることで、世の中のお金をいったん政府が回収して、再び政府の支出により世の中にお金を流していくことになります。税金を取らずに歳出全てを政府通貨の発行でまかなうことに比べて、税金を取った分だけ世の中に流通するお金の量が減ることになります。
その結果、税金を取ることは、物価を抑えることに繋がります。
税金を取る二つ目の理由は、通貨を強制的に流通させるためです。
もし、税金を全く取らなければ、国民が経済取引をする際に、どの通貨を使うかは、国民が自由に決めることになります。そうすると、富の再分配など、政府が国民の生活をより良くする政策を実行しようとしても、国家が発行する通貨が国民に使われていなければ政策は実行できません。より具体的に言えば、政府が発行する通貨を使って国家の事業をしようとしても、その通貨を国民が使っていなければ国民を動かす手段にはなりません。
そこで、国家は国民に「税金」として国家に自国通貨建てでお金を払う義務を課します。そうすると、国民は自国通貨を持たなければ納税できないことになります。納税しなければ、脱税になります。国家は国民が脱税すれば、刑事罰を科せます。つまり、脱税した人は国家に逮捕され刑務所に入れられてしまいます。
このように、国家による逮捕権が担保になって、納税義務は国民に対して強制力を持ちます。そこで、国家は国民に自国通貨建てで納税させることによって、自国通貨を自国内で強制的に流通させることができるようになります。
3.「中央銀行通貨」の国
税金と「お金」の関係については、中央銀行通貨の国でも、2の「政府通貨」で書いたことがそのまま当てはまります。
政府通貨の国が中央銀行通貨の国に移行することの目的は、税金を取ることだけでは物価の上昇を抑えられないときに、金利を操作することを通じて物価の上昇を抑えることにあります。
つまり、税金が物価を抑える手段であることは、中央銀行通貨の国でも変わりません。中央銀行が行う金利の操作という物価を抑える手段は、税金という物価を抑える手段の他に、更に物価を抑える手段として考えられたものです。
そのため、中央銀行通貨の国でも、税金と通貨の関係は政府通貨の国と変わらないことが分かります。
4.MMTが唱える「スペンディングファースト」の意味
以上のように見ると、国家にとっては、税金よりも先に政府支出があり、その後で通貨価値を高めるために税金を課しているということが分かります。
MMT(現代貨幣理論)はこのことを「スペンディングファースト」と呼んでいます。つまり、何もMMTは特別なことを言っているわけではなく、この論点については、MMT論者は事実を述べているだけです。
経済学についてどのような学説に立とうとしても、以上のような税金と通貨の関係は争いができない事実です。
素直にしくみを見ることで、国家は税金を何のために国民に課しているかということが分かります。
結論は、税金は物価を下げるために国民に課している、ということです。
5.関連する論点
このように見てくると、関連する論点として、今度は、「中央銀行通貨」の国で発行されている「自国通貨建ての国債」とはどういうものなのか、という疑問が出てくるかもしれません。
結論から述べると、国債は「利息付きの通貨代替物」とでも呼べるものです。
この説明は7年前、2013年のブログに書きましたので、そちらをご覧ください。
「国債とは何か(「国債のひみつ」2)」
https://tezj.hatenablog.jp/entry/20131013/p1
今日のブログ記事で御疑問があれば、ツイッターやFaceBookで御質問をお寄せください。よろしくお願いいたします。
(2020/12/06 00:24)
「お金のしくみ」第17回オンライン勉強会
「お金のしくみ」第17回オンライン勉強会
12月21日(月)21:00~22:00(延長希望があれば~22:30)
お金のしくみを知ると経済的な問題の解決策が分かります。どなたでも無料で参加していただけます。
https://us02web.zoom.us/j/82370087406?pwd=V1Z3Y2NrRCttdXFPbE8rcVFGRHJFdz09
ミーティングID: 823 7008 7406
パスコード: 296724
(2020/12/21 20:10)
信用創造の第3の経路 外貨建て資産
経済を考える時には、日本銀行が生み出したお金が、どのようにして市中銀行によって膨らまされて民間に流通しているのかという「お金のしくみ」を知ることが大切です。
日本銀行が生み出したお金のことを「マネタリーベース」と呼び、市中銀行によって膨らまされて民間に流通しているお金のことを「マネーストック」と呼びます。この二つの差、言い換えれば、市中銀行がお金の量を膨らませることを「信用創造」と言います。
この「信用創造」について、従来から私は、2つの経路を説明してきました。
1.銀行の貸し出し
2.政府の国債発行+政府支出増
の2つです。
ただ、厳密に言えば第3の経路があります。備忘的にそのことを書きます。
それは、市中銀行が、円貨を発行して外貨や外貨建て資産を購入する場合です。
つまり、
3.外貨や外貨建て資産を銀行が購入する場合
です。
例えば、民間企業や民間人が持っている外貨や外貨建て資産を円と交換したり円建てで購入したりする場合は、
銀行の資産として、外貨や外貨建て資産が増え、
銀行の負債として、銀行預金が増えます。
この瞬間、マネーストックが増えます。
これが第3の経路です。
しかし、逆に、外貨建て資産を円建てで売ったり、
外貨を円貨に交換したりすると、逆の流れになるので、
銀行の資産として、外貨や外貨建て資産が減り、
銀行の負債として、銀行預金が減ります。
このように、結局、日本の銀行が外貨や外貨建ての資産を円貨で買っている場合にのみ、マネーストックが増え、その逆のことをすればマネーストックが減るので、結局、国内物価に影響を与えるような程度の変動にはならないと推測できます。
実際に、資金循環統計の「預金取扱機関」の「資産・対外証券投資」と「資産・その他対外債権債務」の合計は、おおよそ110兆円~130兆円の枠の中で増減しているだけです。
https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_a000&lstSelection=FF
以上のように、国内経済の変動を考える上では、信用創造の第3の経路は無視してもいい程度であると私は考えています。
(2020/11/28 12:28)
「お金のしくみ」第16回オンライン勉強会
「お金のしくみ」第16回オンライン勉強会
11月30日(月)21:00~22:00(延長希望があれば~22:30)
どなたでも無料で参加していただけます。
https://us02web.zoom.us/j/81341618996?pwd=ZlJZNjNKN1RrVzd1M1VtcGEvN0FuZz09
ミーティングID: 813 4161 8996
パスコード: 512993
(2020/11/24 08:41)
岩村充『国家・企業・通貨』
評者は「お金のしくみ」を理解する参考書とは何がいいかと聞かれることが多いです。この本はお勧めしたい本の中でも突出してお勧めしたい本です。
国家・企業・通貨: グローバリズムの不都合な未来 (新潮選書)
作者:岩村 充
発売日: 2020/02/19
メディア: 単行本(ソフトカバー)
日本のような対外純資産国は、貿易黒字を積み上げて今日の国際的な地位を得ています。しかし、純粋に国内経済面を考えると、貿易黒字=資本流出なのであまりいいことではありません。
逆に言えば、途上国が経済成長するには、先進国から資本を流入してもらえるような条件が必要です。
岩村氏は「資本が移動するためには、統治力ある国家、資金提供者を安心させる企業制度、さらに金融市場での資金循環を支える通貨制度の整備が不可欠でしょう。」(本書『国家・企業・通貨』p.90)と述べています。
本書は、近代資本主義の基本的3要素である
・国民国家
・株式会社
・通貨
の3者とそれらの関係を記した本です。
「お金のしくみ」について基本的な知識を得たい人は、ぜひご覧ください。
(2020/11/13 08:13)
日本が作る新しい世界秩序
今年のコロナ禍で多くのことが変わりました。世界経済の構造も多くの人が実際の姿を知るようになりました。2020年は「アフターコロナ」元年として、人の記憶に残る年になりそうです。
今日は、日本の潜在力を活かせば、アフターコロナ時代に日本が新しい世界秩序を作ることができるという話をします。
これからの世界秩序で問題になりそうなのは、自由貿易体制のあり方です。自由貿易体制とは、各国が貿易に制限を設けないで、できるだけ関税もかけないで他の国と取引をすることを言います。
この考え方を自由主義と言います。
これに対して、他国との貿易を制限する考え方を保護主義と言います。
二つの世界大戦の結果、国と国が争わなくてもいいように自由貿易体制が整えられました。日本も自由貿易体制の中で利益を享受し、世界一の純債権国にまで上り詰めました。
この自由貿易の状況がコロナ禍で大きく変わるのでしょうか。大きくは変わらないでしょうし、また、変えるべきでもありません。でも、修正が必要だということも分かってきました。
保健分野に必要な衛生用品や医療用品の供給を他国に依存していると、いざというときに国民の命を守れなくなることが分かりました。
これからは、衛生用品や医療用品をできるだけ自給できるような体制を整えなければなりません。この範囲で自由貿易体制は保護主義の方向に修正する必要があります。
次に、この点で考えなければならないのは、現時点で衛生用品や医療用品を自給できない途上国に対して、先進国がどのような対応をすべきかということです。それに加えて、保健分野の人材の育成も急務です。
私の提案は、
・先進国が自国通貨建ての国債を発行して自国通貨を調達する。
・先進国は自国通貨を途上国に貸し付ける。
・条件は無担保無保証にする。
・金利は低金利(現状でも低金利)
・途上国は貸し付けを受けた先進国通貨を担保にして自国財政を拡大し、医療保健体制を人的にも物的にも整備する。
・途上国の徴税体制の整備や金融体制の整備にも先進国は別のスキームで無償資金協力により協力する。
(途上国が財政を拡大する際には、自国通貨を安定化させるため徴税や金融の体制整備が必要になります。汚職をなくす懲罰的なしくみも必要です。)
というスキームです。
他の先進国は後で付いて来させればいいので、日本から始めればいいのです。このスキームは従来の日本の途上国への援助の形を大きく変えます。政府貸付は、ODA(政府開発援助)の一部です。
現在のODA総額は以下のURLのようになっています。(外務省サイト)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/yosan.html
統計資料を見ていただくと、政府貸付の額は以下の通りです。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/100053711.pdf
2018年
貸出額 8,841億円
回収額 7,237億円
----------------
差し引き 849億円
こんな額しか政府貸付の予算をつけていないなんて、もったいない話です。日本の円は強力です。世界で途上国を味方に付けるため、10倍ぐらいの政府貸出の額にすればいいのです。
日本が国債を発行して円貨を調達して途上国に貸し付けても、使われ方は2パターンしかありません。
・日本企業へ仕事が発注される→日本経済にプラスになる
・円貨を外貨準備として途上国が持ち、途上国が自国通貨建てで自国財政を拡大する→発行された円貨は使われず貯められるので円貨の価値は下がらない
どちらにしても日本経済にとって悪い要素はありません。
返済不能になりそうならば、会計制度と高等教育体制の整備に力を貸し、更に支援を行います。日本に国費留学生として招聘し、日本語を理解する高度人材を育て、本国に帰って活躍してもらうというプログラムも同時に導入します。
そのように考えると、貸出額を一気に10倍規模、8兆円程度にする必要があります。これからの毎年の回収額はそのままなので、一般会計予算を現状の500億円程度→8兆円程度に増額する必要があります。ただ、そのために国債を発行しても、国債の発行残高が増えるだけで何の問題も生じません。今までの財政運営との連続性を守るために一般会計に計上することには問題があると政府与党が思うのであれば、政府貸出に関する特別会計を一つ作れば解決します。
そして、その特別会計の決算には、参議院に特別に長期的な視点から監査を行う専門の機関を設け、不正が起こらない体制を整備します。
緊縮財政の考え方を取り払うだけで、日本は国際的にも大きな投資ができるようになります。アフターコロナ時代に、日本が新しい世界秩序を作ることに繋がります。国内経済の復活のためにも、積極的なODAが展開されるようになってほしいものです。
参考:ODAの予算について詳しい解説は、参議院の調査室が毎年出しています。
令和2年度政府開発援助(ODA)予算(参議院 牛上直行氏)
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2020pdf/20200207074.pdf
(2020/10/25 19:46)
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